小樽地区は20日、小樽水産が南北海道大会2連覇中の北照に延長11回の末に5-6と惜敗した。先発したエース右腕、寺沢寛太投手(3年)が粘りの投球で死闘を演じたが、最後は自身のサヨナラ暴投で幕切れ。「タイブレークに入ってもみんな我慢強く守ってくれた。最後自分のワイルドピッチで負けて、悔しい」。言葉とは裏腹に、顔には充実の汗が伝っていた。

11回1死満塁。この日投じた160球目は、ホーム手前で無情にもはねた。「延長に入ってスライダーで引っかけさせようとバッテリーで話していた」。10回のピンチを脱したスライダーだが、最後は制球が乱れた。沸き立つ北照ナインの横で舌を出し、女房役の岡本の肩を抱いて静かに整列に加わった。

昨夏、秋と2度対戦し0-10で敗れた相手。コロナ禍でも仲間と連絡を密に取り合い臨んだ夏。「絶対に北照に勝とう」。82球を投げた初戦から中1日。9回に同点打を放った1年生木島を含む部員16人で、97人の強豪と渡り合い、今大会最長の2時間55分の試合を戦い切った。「去年の秋は助っ人を借りたチーム。1年生7人が入った。感極まる…よくやってくれた」。唯一言葉を詰まらせた寺沢の思いは、次の代に必ずつながる。【浅水友輝】

▽小樽水産・板橋宏季監督(38)「(寺沢の好投について)今日は集中力を欠くことなく、最後まで投げてくれた。丁寧に丁寧にが苦手な子だったんですけどね」