能代松陽は全員野球を体現し、6年ぶりの決勝進出を決めた。先発・堀内真翔(3年)と2番手・深堀虎童(2年)が1失点リレー。8回に打線も奮起し、秋田商の反撃をかわした。

ノースアジア大明桜は由利を8回コールドで退けた。宮城県出身でプロ志望の長尾光投手(3年)が8回14奪三振で完投し、打っては2番中井稜貴外野手(2年)が4安打5打点でけん引。全国最速王者を懸けた決勝は昨秋決勝と同カードになり、22日午後1時からこまちスタジアムで行われる。

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お互いに高め合う先輩後輩右腕2人が能代松陽を勝利に導いた。先発の堀内が5回無失点と好投。「甘い球を狙って初球から(秋田商が)振ってくると思ったので、初球からキレのある球を投げようと思っていた。持ち味の変化球と真っすぐを織り交ぜながら無失点に抑えられた」。3回に本盗で奪った1点を守り抜き、予定の5回でお役御免となった。

堀内は試合前に深堀に対して「自分が試合を作るから終盤は頼むぞ」と伝え、マウンドに上がった。「自分の仕事を全うしようという気持ちだった」と完璧な投球でバトンを渡した。後輩ではあるが「自分よりレベルが高いし、真っすぐがいい。ピッチャーとして尊敬しているし、自分もその真っすぐが投げたい」と笑う。堀内が変化球を教え、深堀が直球を教える好循環で成長してきた。

打線は1-0の8回1死から4連打で3得点。決勝点となる適時打を放った3番田村零士(3年)は、練習を支えてくれる学生コーチ6人への思いを打球に乗せた。「学生コーチに感謝の気持ちを持ち打席に入った。欲張らずに単打でつなごうという意識がいい結果になった」と初球を右前へ。9回に1点返されたが、チームは持ち味の全員野球を貫き勝利。第1シードとして、昨秋破った明桜を返り討ちにする。【山田愛斗】