能代松陽は全員野球を体現し、6年ぶりの決勝進出を決めた。先発・堀内真翔(3年)と2番手・深堀虎童(2年)が1失点リレー。8回に打線も奮起し、秋田商の反撃をかわした。ノースアジア大明桜は由利を8回コールドで退けた。宮城県出身でプロ志望の長尾光投手(3年)が8回14奪三振で完投し、打っては2番中井稜貴外野手(2年)が4安打5打点でけん引。

全国最速王者を懸けた決勝は昨秋決勝と同カードになり、22日午後1時からこまちスタジアムで行われる。

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明桜は背番号17を背負った中井が爆発した。1-2の2回2死二、三塁で逆転の中前2点適時打。「笑顔で全力で楽しもうという気持ちで打席に入った。先制されたが、思い切りのいいスイングを心がけた」。初回に内野安打、4回に2点適時打、8回にはコールドを決める適時打。長尾の三振ショーに負けじと猛打ショーを見せた。

昨冬は打撃強化に励んだ。ティー打撃や素振りなどチームとしてバットを半日間振り続けるメニューをこなしながら、自主練習でも磨いてきた。「冬場に振り込んだ成果が結果につながったと思う」。輿石重弘監督(57)も「チームで一番コンパクトな打撃ができる。2番としていい働きをしてくれた」とたたえた。

先発の長尾は初回に本塁打を浴びるなど、立ち上がりは苦しんだ。それでも「焦りはなく打たれたことで逆に火がついた」。その言葉どおり、尻上がりに調子を上げ完投。最速145キロを誇るが、変化球軸に三振を奪っていった。「真っすぐで押したい気持ちもあるが、球種が多いと1つ調子が悪くても別の球種が良ければ抑えられる」と語る。

打線の状態も上がり、投打がかみ合ってきた。長尾、佐々木湧生、橘高康太(いずれも3年)、風間球打(2年)の明桜四天王右腕を軸に、圧倒的な内容で3年ぶりに秋田の頂をつかむ。