<高校野球岐阜大会:帝京大可児12-0武義>24日◇2回戦◇KYBスタジアム

今秋ドラフト候補で帝京大可児(岐阜)の最速153キロ右腕・加藤翼投手(3年)が武義との初戦に先発し、3回1安打無失点、8奪三振の快投を見せた。

4球団のスカウトが熱視線を送る中、エンジン全開の投球で相手打線をねじ伏せた。初回、この日最速の149キロを計測し2つの三振を奪う。2回、右手中指のマメがつぶれた影響で変化球主体の投球に切り替えたが、残るすべてのアウトを三振に取った。この結果に右腕は「自己評価は40点。高めの抜け球が多く、まっすぐでカウントを取れなかった」と振り返った。視察したヤクルト・橿渕スカウトグループデスクは「球のスピン量が多く打者は球速以上に速く感じると思う。ブレーキのかかったカーブも良い。タイプ的には山本由伸投手(オリックス・バファローズ)のように感じる」と評価した。

「進路はプロ1本」と力強く語る右腕。わかっていても打てないまっすぐを理想とし、体力強化に励んできた。体重は入学時から15キロ増、球速は20キロアップ。大会前の大垣日大(岐阜)との練習試合では自身の最速を1キロ更新した。

7月上旬、故郷の下呂市(岐阜)は記録的な豪雨で被害を受けた。「自分が活躍して地元の方々を少しでも勇気づけたい」。故郷への思い、そして理想の自分に近づくため、東濃の快速右腕は走り続ける。【山崎健太】

◆加藤翼(かとう・つばさ)2002年(平14)12月14日生まれ、岐阜県下呂市出身。小学2年生から野球を始め金山クラブに所属。中学は岐阜加茂ボーイズに所属。帝京大可児では1年秋からベンチ入り。最速153キロ。遠投125メートル、50メートル6秒1。178センチ、75キロ。右投げ右打ち。