近江にスーパー1年生が現れた。7回から緊急登板した山田陽翔(はると)投手(1年)が、3イニングを2安打無失点に抑え、打っても7回2死一、二塁から左翼線へ決勝打となる先制二塁打を放ち投打で勝利に貢献した。

出番は突然だった。6回まで無失点投球のエース田中航大投手(3年)の右ふくらはぎがつった。何とか応急処置をしてマウンドに一度は上がったが、再び痛め降板。バタバタとあわてて登板した山田は「抑えてやろうという強い気持ちで上がった。緊張はあまりしないタイプ。ワクワクの方が強かった」といきなり相手の5番をスライダーで見逃し三振。三ゴロ、空振り三振と3人で仕留めた。その裏に自身の適時二塁打で1点を奪うと、8、9回も無失点に切り抜け、昨夏の滋賀大会決勝と同じ相手、同じスコアの1-0での勝利に導いた。

大会前の練習試合で自己最速144キロをマークした。中学時代からその実力は知られ、今年1月のTBS系テレビ番組「炎の体育会TV」ではスーパー中学生として、元阪神亀山努氏、巨人元木大介ヘッドコーチとも対戦したこともある。

多賀章仁監督(60)は「田中のアクシデントは予想外。あの場面で1年生には重たいなと思ったが、彼がこういう試合でデビューしたというのは、(高校)野球人生のスタートとして記憶に残る、彼にとってもチームにとっても価値のある1勝」とほめた。