札幌地区では25日、代表決定戦が行われ、昨春センバツ出場の札幌第一が、札幌新陽を11-1の5回コールドで下し、南北海道大会進出を決めた。

5点リードの1回2死二塁、9番布施友梧捕手(3年)が、公式戦1号となる左越え2ランを放ち、小中高とバッテリーを組むエース山田翔太(3年)を援護した。北海、立命館慶祥も南大会に出場を決めた。

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竹馬の友を喜ばせたかった。札幌第一は初回、相手守備の乱れに乗じて3安打と四球を絡め5点を奪うと、9番布施が続いた。「山田が頑張って投げていたので、少しでも多く点を取って助けたかった」。真ん中に入ってきた直球を迷わずに振り抜くと、打球はぐんぐん伸び左翼フェンスを越えた。高校通算2本目、公式戦1号2ランで7点目をたたき出し、流れをつかんだ。大量得点をもらった山田も5回3安打1失点と好投し、女房役の1発にこたえた。

いつも一緒だった。山田とは小3から所属する中の島ファイターズでバッテリーを組み始めた。中学時代は新琴似リトルシニアでボールを受け続け、高校は互いに話し合って同じ札幌第一を選んだ。自宅も近く、そろって自転車登校する。布施は「行き帰りの道で、その日や前の日の反省点を話し合う」。6月の練習再開後、コロナ禍で札幌豊平区の高校から清田区のグラウンドまで約30分、バスではなく自転車移動になった。その分“チャリ談義”は増え、互いの意見を念入りに交換し続けてきた。

山田は「自分が何を投げたいか話さなくても大体分かってくれている。思った通りの配球をしてくれる」。最後の夏となった今大会、2人は高校では初めてコンビを組み、まずは南大会切符を勝ち取った。

昨春センバツで、布施はスタンドにいた。2年生で初戦の山梨学院戦に先発した山田は、本塁打含む7安打を浴び、7失点で1回持たずに降板した。布施は「あそこに自分も立ちたかったという悔しさと、何もしてあげられないもどかしさがあった」。雪辱のための甲子園はなくなったが「山田とできるだけ一緒に長く野球がしたい。最終日まで戦い続けたい」。友を支え、南大会の頂点に立たせるという使命感に、燃えている。【永野高輔】

▽札幌第一の菊地雄人監督(48) 下位打線が突破口を開いてくれた。布施はよく打った。9番だがパワーはあるので当たれば飛ぶ。捕手としても山田とは小さいころから組んでやっているので、あうんの呼吸がある。

▽今春就任し初の公式戦で代表決定戦まで進んだ札幌新陽の小崎達也監督(31) (06年駒大苫小牧で全国準優勝メンバー)先手を取りたかったが、相手が2枚も3枚も上だった。選手たちは試合を重ねながら成長してくれた。

▽札幌新陽の後木健汰主将(3年) 入部してから2回戦が突破できなかったが、最後の夏、2勝してここまで来られたのは自分の財産になる。今後の人生に生かしたい。野球は進学して続けられたら続けたい。