全国高校野球選手権大会がなくなった今夏。球児たちはどんな思いで試合に臨むのか。直筆の手紙とともに随時掲載していく。

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聖望学園(埼玉)の蔵田亮太郎内野手(3年)は、生まれた時から野球が隣にあった。父修さんは福山大監督。「小さい頃からお父さんの試合をスタンドで見てた。かっこいいなと思っていた」と振り返る。父親に憧れた野球少年は身長187センチまで伸び、プロ注目の大型遊撃手に成長した。

恵まれた体格だが、体を柔らかく使った捕球や送球が持ち味だ。「生まれてから自然と身についていた」と語るが、父親の影響も大きい。岡本幹成監督(59)は「大学野球を昔から見ていたので、基本的な身のこなしが染み付いたのでしょう」と分析する。高いレベルの野球が身近にあったからこそ、無意識に同じ技術を追求し続けてきた。

父親が教えてくれた野球でより成長するため、地元広島を離れ、聖望学園の門をたたいた。感謝と恩返しをプレーに乗せ、3年間の集大成を発揮する。【湯本勝大】