東大合格者数39年連続日本一の開成(東東京)が、猛打で6回コールド勝ちした。自主性を重んじる校風から青木秀憲監督(49)は部長として平服でベンチ入り。主将の内田開智捕手(3年)が実質的な「監督」としてナインを引っ張った。内田は3打数2安打、打点2と活躍。チームも15安打13得点と打ちまくり、頭脳集団が豪快に初戦を突破した。

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「打てないと勝てないから、それなりの試合はできた」。内田は試合後、気合の丸刈り姿でそう言った。自らの2安打2打点を含み、一挙4点のビッグイニングを3度も築いた。

先を読みながら、的確な指示を送った。「青木先生、次は2番手を準備させますか?」「代打を出しますか?」。逐一、私服の監督に進言はするが、戦略は内田が錬る。試合では基本的にノーサイン。青木監督は「選手たちで取り決めはあるかもしれないが、私は知らないんです」。スタメンも主将が原案をまとめる。

「最近の生徒は指示待ちが多く、気になっていた。ならば監督役の選手を設けてゲームを進めようとなった」と青木監督。全体練習は週1度だけ。練習メニューも選手たちで考える。監督は練習を見ないし、口も出さない。今大会は3年生のベンチ入り枠を増やすため、自らは部長登録。監督は選手が兼任できないため、そのつどメンバーから外れた中で最もマネジメント能力の高い選手に任せ、この日は布留川修外野手(3年)がその任に就いた。

内田は「東京神宮リトルシニア」出身。仲間は強豪校に進み、青森山田のドラフト候補、小牟田龍宝投手(3年)もその1人だ。「僕は東大野球部に入り、強豪に行ったやつの鼻を明かしたい」と、開成を選んだ。超進学校ゆえ、夏場に3年生は受験に切り替えるとみられた。だが17人全員野球を続けている。文武両道を掲げ、次戦も打ちまくる。【玉置肇】