浜松開誠館は初優勝を逃した。1点を追う7回裏2死一、二塁、走者2人が生還すればサヨナラの場面。4番西川侑希主将(3年)が直球を捉えたが、打球は左翼手のグラブに収まった。「大事なところで1本が出なかった」。3点を追う3回にも1点差に詰め寄った。しかし、あと1本、1点が最後まで遠かった。

エース長屋竣大(しゅんた、3年)は、5回途中から4番手でマウンドに上がった。前日1日の準々決勝で打球が足を直撃。疲労も重なり、万全ではない状態で力投したが「決勝はきつかった…」。気迫の投球で140キロ台連発も、今大会初の自責点が付いた6回の1失点が決勝点となった。

それでも、チームはこの日午前の準決勝を延長の末に勝ち抜くなど、創部23年目で初の決勝進出。進学予定の長屋は「決勝まで残れて良い夏だった。4年後のプロ入りを目指していきたい」と顔を上げた。死力を尽くしたナインに涙はなかった。【前田和哉】

○…浜松開誠館が異例の「変則ダブルヘッダー」を戦い抜いた。午前中に清水庵原球場で行われた準決勝で、駿河総合に延長9回タイブレークの末に勝利。決勝進出を決めると、試合終了から16分後には、決勝の会場となる草薙球場へバスで出発。食事も車内で済ませて大一番に臨んだ。佐野心監督(53)は「肉体的にも精神的にもタフでしんどかった」。西川主将は「会場が変わったことで気持ちを1度リセットできた部分もあった」と振り返った。