Y校に「ジャンボ」が再来した。今秋のドラフト候補左腕、横浜商・笹川吉康投手(3年)が今夏初戦第1打席の初球を振り抜き、右翼へ高校通算40本目となる先制ソロを放った。「夏最初の打席で緊張もあったが、1打席目の一振りで一気に緊張がほぐれました」と振り返った。投げては先発して4回2安打無失点。投打の活躍で6回コールド発進に貢献した。

193センチ、86キロと恵まれた体格の二刀流選手。伝統のY校の長身左腕といえば「ジャンボ宮城」こと元ヤクルト宮城弘明氏をほうふつとさせる。しかしプロからは外野手の評価が高い。コロナ禍による自粛期間では、食事の量と筋力トレーニングを増やして、2年冬まで80キロだった体重を6キロアップ。打撃力が上がり、自粛明けの練習試合からこの日までに12本を積み上げた。「投手はあまり好きではないです」と本人も打者志望。それでも140キロの直球とフォークで大磯打線を打ち取った。

甲子園はなくなったが、日本一を虎視眈々(たんたん)と狙う。17日は同地区の東海大相模が甲子園交流大会で大阪桐蔭と対戦。「東海大相模を倒して県大会は優勝する。東海大相模が大阪桐蔭を倒してくれれば、甲子園で優勝したような感じになるかも」とニヤリ。「全国制覇」に向けて、1歩踏み出した。

その先にあるのはプロ野球選手になること。「大学に行って4年後また注目されるとは限らない。ケガのリスクもある」と高卒からのプロ入りを目指す。ジャンボ笹川擁するY校が、今夏の神奈川を盛り立てる。【湯本勝大】