クラークが旭川龍谷を10-0で下し、甲子園に出場した16年北大会以来の道大会制覇を果たした。

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7点ビハインドの8回2死一塁。旭川龍谷4番菅大晟中堅手(3年)の打球は相手三塁手の正面をついた。主砲のバットから快音は生まれず、クラークに敗れた。「チームを勢いづけられずに負けてしまって悔しい」。胸に込み上げてきた思いは涙となって頬を伝った。

「生きているときもずっと応援してくれた」。両親と妹と暮らす菅には“お兄ちゃん”と呼ぶ存在がいた。今年3月にがんのために天国に旅立った叔父の松原貴由さん(享年45)だ。昨夏北大会も抗がん剤の治療を受けながらスタンドで観戦。「わが子のようでした。命がない、来年にはいないかも知れないと分かっていながら」。この日遺影を持って応援した祖母松原美恵子さん(73)は息子貴由さんの気持ちを述懐した。

叔父は生前、繰り返すように「甲子園に行けよ」と応援してくれた。亡くなった直後、菅は「2人きりになりたい」と一緒に最後の時を過ごした。決勝までで10打数7安打7打点の活躍をした今大会は毎試合ユニホームを叔父のお骨の上に供えて臨んだ。「今日も応援してくれていたと思う。ありがとうって伝えたい」。言葉では足りない菅の思いは、泥だらけのユニホームが物語っていた。【浅水友輝】

▽旭川龍谷・合田主将「結果だけ見たらふがいない。勝ってきたチームにどう映るか分からないけど、いろいろな人が見てくれた。その人たちに何かを感じてもらえていたらうれしい」

▽旭川龍谷・長谷(救援エースとして北大会で3勝し、今夏初先発)「先発投手だからと特別な準備はせず、中継ぎの時と同じようにした。1球1球大事に投げたけど、勝てなかった」

▽旭川龍谷・高橋健監督(48=OBで捕手として90年北大会決勝に進出)「大会を通じて成長してくれた。(試合後、選手たちに)おつかれさん、立派だ。最高だよ」