逆転サヨナラ負けに、桐蔭学園のエース阿部龍太投手(3年)は「代わった2年生に申し訳なかったです。投げきりたかった」と打ち明けた。

140キロ台中盤の直球を軸に、初回から0を並べた。「直球狙いを感じましたが、持ち味を出さないとと思って。変化球を投げて打たれたら最悪。直球で打たれた方が納得いきます」と直球にこだわった。ウエートなどで昨秋より体重は10キロ増の81キロに。球速も5キロ以上、上がった。

援護が少ない中、8回まで6安打無失点。既に球数は112球を数えたが、当然、9回も上がった。ところが、先頭が味方の失策で出塁。そこから、二塁打、申告敬遠で塁が埋まると、捕逸で1失点。四球で再び塁を埋め、今度は死球で押し出し同点。無死満塁で慶野壮司投手(2年)に後を託したが、その慶野も次打者に押し出し四球でサヨナラ負けした。

阿部は負けた直後は少し泣いたが、取材時間には笑顔が戻っていた。「最終的には自分の甘さが出ました。実力が出ました」と吹っ切れたように話した。仙台出身で、楽天シニアでプレーした。同僚だった仙台・鎌田健太郎投手(3年)が宮城大会で決勝まで進むのを見て「俺も頑張ろう」と刺激を受けた。最後は思わぬ幕切れとなったが「人としても成長できました」と、高校野球を振り返った。