<高校野球神奈川大会:相洋7-0平塚湘風>◇13日◇4回戦◇平塚球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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1球でも立派な公式戦初出場だ。平塚湘風・江藤慎平一塁手(1年)は1回表、先頭で初球ストライクを見逃しただけで代打を送られた。「緊張しました。初めて出て、うれしかったです」。身長170センチ、体重110キロの巨体とは反比例の小声だった。

森山純一監督(38)は、代打に富田悠斗選手(3年)を送った。守備に難はあるが、打撃がいい。「前の試合で使えなかった」。3年生を立たせたい思いもあった。先攻、後攻はメンバー表交換の後に決まる。この日は先攻を取れたから良かったが、後攻なら1回表の守りに富田は使いづらい。そこで、まずは先発に江藤を使い、1球で富田に代えた。富田は中前打で起用に応えた。

苦肉の策ではない。森山監督は「江藤に期待もしてます。シード校の生きた球を見せられた」。江藤は先輩たちに拍手で迎えられた。「この経験を生かしたいです」。中学時代は10本塁打の大砲。次代への1球とする。【古川真弥】