82年夏以来38年ぶりに甲子園に出場した帯広農(北北海道)が、明治神宮大会準優勝の高崎健康福祉大高崎(群馬)を4-1で破り、甲子園初勝利を挙げた。

2回に2点を先制し、3回1死三塁から4番前田愛都(3年)のスクイズで3点目。守備でも3回無死一塁、5回無死一塁、6回無死一塁で併殺に打ち取るなど堅守を続け、“4アウト”で敗れた38年前のリベンジを果たした。

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帯広農の3年生ラスト白星を2年生が演出した。まずは公式戦初先発の9番谷口だ。2回表2死満塁、1ストライク2ボールから、プロ注目左腕、下の外角直球に食らい付いた。「いい当たりではなかったので、抜けてくれて良かった」。公式戦初打席で先制、そして決勝点となる貴重な右前2点適時打を放った。

3-1の5回1死二塁では2番佐伯だ。「谷口が打っていたので自分も、と思った」。中前適時打で4点目をたたき出すなど、内野安打を含む3安打1打点。道勢の公立校では13年センバツの遠軽以来、7年ぶりの勝利に貢献した。

後輩の奮闘が先輩を乗せた。今夏初先発となった主将井村が6回1失点と流れをつくると、7回から登板した水上が3回無失点。7回無死二塁では走者をけん制で刺した。水上は「点差があったので落ち着いて投げられた」。北大会初戦の旭川龍谷戦は自身の送球ミスから崩れ6回6失点降板していたが、聖地で最上級生の責務を果たした。

前田康晴監督(44)は3年生にこだわらず「最後まで競わせて1番いい選手を使う」と厳しくメンバー選考。先発に4人の2年生を起用し、結果を出した。新チームは20日に始動。秋に向け、手応え十分の1勝となった。【永野高輔】

○…6月に左膝と右手薬指を負傷した千葉俊輔遊撃手(3年)が、ベンチで声を出し聖地での夏を堪能した。夏の甲子園が中止になった際、公務員試験を控えるため引退を申し出た。3年生全員で話し合い踏みとどまった。本来は井村、水上と並ぶ投手3本柱の1人。今夏は試合に出ることが出来なかったが「最後までみんなと一緒にやってきて良かった」と目を細めた。

◆2回に二塁から好走塁し、絶妙な滑り込みで生還した帯広農の菅 捕手が前に出ていたので、うまくよければタッチしにくいと考えて滑り込んだ。