盛岡工が「5番投手」五日市健永(たけはる、2年)の投打にわたる活躍で、8-1の7回コールドで久慈東を破り、初戦を突破した。

盛岡地区大会から1人で投げ抜いてきたエース右腕は5安打1失点完投。打っても2回2死満塁から左前に2点適時打を放つなど、2安打2打点で存在感を示した。20日の2回戦では花巻農と対戦する。

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176センチ、61キロの細身エース五日市が、太い柱になってきた。2回先頭打者では強烈な当たりで遊撃手の失策を誘発。打者一巡した2死満塁から左前2点適時打で一挙6得点し、試合を決めた。「いつも通り思い切り振ろうと思った。最初にたくさん点を取れたのは良かった」。7回裏に菊池豪太外野手(2年)の右前適時打に感謝しつつも、「7回表に1点を与えてしまって、すんなり終われなかったのは反省です」。完封を逃した投球には納得いかない様子だった。

小6の矢巾アローズ時代に右肘を痛め、1度は投手を諦めた。肘痛は完治し、今夏に細川幸希監督(46)から声をかけられ「やってみたかったのでワクワクでした」と再開したばかり。被安打後に四球を出すなどの課題も多かったが、3度の内野ゴロ併殺で粘った。「次からは走者を背負うことが多くなるし、1点が重くなる。もっと思い切って腕を振らないと。1球、1イニングを気を引き締めたい」。最速は120キロ台だが、緩急をつけたテンポの良い投球を継続する。

矢巾北中でも一緒だった最速147キロ右腕の前エース昆野漱太郎(3年)と二人三脚で投手力を磨いた2カ月だった。投球フォームやマウンドでの心構えなども丁寧に伝授してもらった。「一番は楽しむこと。ストライクと思った球を(審判に)取ってもらえなくても『じゃあ同じところにもう1球投げてやるぞ』という強い気持ちも勉強になった」。爪や体のケア方法など、教えは細部にわたる。

同校は82年夏に2年連続出場して以来、甲子園から遠ざかる。まずは東北大会出場を目標だが「目の前の試合を1つずつ勝つことだけ考えています」。右腕もバットもフルスイングするだけだ。【鎌田直秀】