福岡大大濠が3-0で具志川商(沖縄)を下し、17年以来5度目のセンバツ出場を確実にした。来秋のドラフト候補の最速140キロ左腕、毛利海大(かいと)投手(2年)が5安打完封。オリックスからドラフト1位指名された1学年上の153キロ右腕、山下舜平大(しゅんぺいた)投手(18)からのエールも励みに快投した。4強入りを決めた大崎(長崎)、明豊(大分)、宮崎商もセンバツ出場に大きく前進した。

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毛利が雄たけびを上げた。9回2死二塁。渾身(こんしん)の164球目で最後の打者を一ゴロに仕留めると、喜びを爆発させた。夢にまで見たセンバツへ大きく前進。「甲子園でプレーすることを目標に大濠に入った。(センバツに)近づけてよかったです」と声を弾ませた。

1日の1回戦は大分商相手に約150球を投じ、14奪三振で1失点完投。連戦予定だった2日の準々決勝は雨で順延したが、中1日で本調子ではなかった。整体でケアを行ったが、球威も今秋の福岡大会準決勝で記録した最速140キロにはほど遠かった。それでも試合をつくれるのは成長の証し。「常時130キロぐらいでしたが、打者が振り遅れていた。キレの部分でいい球が行っていたと思う」。粘りの投球で最後まで流れを渡さなかった。

以前は「点を取られるとキレるタイプだった」という。この日もチームは3失策したが、八木啓伸監督(43)も「毎試合ピンチを招いても粘れて行けているのが、成長させている一番の要因」と奮闘をたたえた。 目標であり、あこがれでもある1学年上の山下が、オリックスにドラフト1位指名された。その先輩右腕から、大会前に激励のLINE(ライン)でエールが届いた。「偉大な先輩がたくさんいる」。甲子園出場がかなわなかった山下の思いも込めた2試合連続完投。魂の熱投だった。

見守ったスカウト陣も称賛が相次いだ。中日三瀬スカウトは「左腕は魅力だし、スピードが上がっていけば、来年がとても楽しみ。リリースが前まで引っ張ってこれるので、打者には速く見えると思う」と評価。センバツで活躍すれば、一躍全国区になりそうだ。

チームで掲げる目標は「九州大会で優勝して福岡に帰ること」。九州王者として甲子園へ。あと2勝をつかむまで、毛利も満足しない。【菊川光一】

◆毛利海大(もうり・かいと)2003年(平15)9月14日、福岡・田川市生まれ。野球は小2から伊田レッドスターで始め、小6でソフトバンクホークスジュニア選出。伊田中では鷹羽ボーイズでプレー。中3でボーイズリーグ日本代表経験。福岡大大濠では1年夏からベンチ入りし新チームからエース。変化球はツーシーム、カーブ、スライダー、チェンジアップ。左投げ左打ち。178センチ、75キロ。