県岐阜商が中止となった前回大会に続いて2年連続30度目のセンバツ切符を手にした。昨秋は岐阜大会を制して、東海大会準優勝。岐阜市内の同校で吉報を受けた鍛治舎巧監督(69)は「今はコロナ対策を徹底して、ひとつひとつ勝ち上がり、最後まで勝ち抜ければと思います」。苦境を糧に成長を続けるチームの目標を明確に示した。

昨年はセンバツ中止に続き、夏の独自大会も学内で新型コロナウイルス感染者が発生したため出場辞退。甲子園で開催された交流試合には出場したものの、厳しい日々が続いた。そんな中でも選手たちは工夫をこらして成長。プロ注目バッテリーの野崎慎裕投手(2年)、高木翔斗捕手(2年)を中心に投打とも着実に力をつけてきた。最速144キロ左腕の野崎は「先輩たちの分も頑張りたい」。4番で主将の高木は「甲子園は特別な場所。3年生が悔しい思いをしてきたのを見ているので、その思いをしっかり背負って頂点に向けて戦っていきたい」と力を込めた。

春3度、夏1度の優勝を誇る名門だが、日本一は1940年の春を最後に遠ざかっている。「常に日本一を狙えるチームを作っていかないといけない」と3年前に母校に戻った鍛治舎監督。大会復活の春に完全復活を遂げる。

◆鍛治舎巧(かじしゃ・たくみ)1951年(昭26)5月2日、岐阜県生まれ。県岐阜商で69年のセンバツに出場。早大に進み、大学日本代表でも4番を務めた。74年、松下電器(現パナソニック)に入社し、95年には阪神からドラフト2位指名を受けるも入団はせず、86~91年同社監督。14年4月、秀岳館監督に就任、16年春から3季連続で甲子園4強に導く。18年3月から県岐阜商監督。

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