宮城が史上2度目のアベック選出に沸いた。日本高野連は29日、リモートで選考委員会を開き、第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に出場する32校を選出。

東北勢では一般枠2校を宮城勢が占めた昨秋東北王者の仙台育英が2年連続14度目、同準Vの柴田は創部35年目で春夏通じて甲子園初出場。同県からセンバツ2校選出は01年の仙台育英、東北以来、20年ぶり2度目となる。21世紀枠では、八戸西(青森)が初出場を決めた。組み合わせ抽選会は2月23日にオンラインで行われる。

  ◇  ◇  ◇

東日本大震災から10年の節目に夢舞台への切符をつかんだ。八戸西が21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。同校のある八戸市でも震度5弱を観測。沿岸部の地域は津波による被害も大きく、家や車を流された選手もいる。東北の代表校として、被災地の思いを背負う気持ちは強い。

11年3月11日の震災当日、同市出身の小川貴史監督(37)は大阪市内で営業のサラリーマンだった。遠く離れていても、「建物の高い場所にいたので、揺れは感じた」。テレビで事の重大さを知り、家族と親戚に電話をかけたがつながらず、発生から3日後にようやく安否確認ができた。

同4月に母校でもある八戸西コーチに就任し、18年から監督に。地域の復興とともに、立ち位置も変わった。現在は八戸高等支援学校の数学教諭を務め、放課後にグラウンドに足を運ぶ。「節目の年に選出されて何かの縁を感じる。震災でつらい思いをされた方々へ、勇気を与えられるようなプレーを」と、使命感を胸に刻む。

昨秋の地区予選から全9試合に登板し、プロも注目する最速143キロ右腕のエース福島蓮(2年)は、昨秋から1センチアップの身長189センチと成長中。「投球でチームを引っ張っていく」と意気込んだ。【佐藤究】