第93回選抜高校野球大会(甲子園)に2年連続14度目出場の仙台育英(宮城)は29日、仕切り直しの準々決勝で天理(奈良)との「甲子園常連校対決」に臨む。

28日は全4試合が雨天順延となり、仙台育英ナインは、甲子園の室内練習場で約2時間の調整を行った。練習を見守った須江航監督(37)は「選手の状態は非常に良い。緊張感もあって、抜けることなく集中していた」と仕上がりの手応えを口にした。

20年ぶりのセンバツ4強を目指す。天理の先発は193センチで最速148キロ右腕、達孝太(3年)が予想される。この日は、最終登録でベンチ外となった最速145キロ右腕、中村和寛投手(3年=東北題字に写真)が、マウンドの2メートル手前から投げ込んだ。達よりも身長は5センチ低い188センチだが「仮想・達」には十分。打席でイメージを膨らませた島貫丞(じょう)主将(3年)は「角度があると思う。目線を上げないで、ボールを見極めていくことが大事。不安要素なく臨める」と確かな手応えをつかんだ。

一戦必勝で「日本一」を実現する。ここまで2試合を、投打ともに充実し勝ち上がってきたが、須江監督は「まだ優勝する力はない。勝ち上がりながら、強くなっていきたい。1日(順延で)空いて、達君も休養がとれていると思う。状態の良い達君を攻略して、自信をつけたい」。今大会屈指の好投手撃破で、大きな弾みをつける。

東日本大震災から10年がたった今年、島貫主将の選手宣誓で2年ぶりの春舞台が開幕した。須江監督は「センバツで優勝がしたい。昨年は春、夏と真剣勝負ができなかった。さまざまな思いが乗る年だからこそ、東北地方の悲願である日本一を達成したい」。夢の実現まで。あと3勝。チーム一丸で、つかみ取る。【佐藤究】