仙台育英のエース右腕・伊藤樹(3年)は、悔し涙を流した。4回2/3を6安打8失点(自責4)。チームを勝利に導くことができず、一塁側アルプスにあいさつを終えると、一気に感情がこみ上げた。「日本一を狙って、センバツに臨んだけど、自分の実力のなさが出た」と唇をかんだ。

最終学年でエースの自覚があった。先発した2年生左腕・古川翼が初回2失点。伊藤は「自分がカバーするという強い気持ちだった」。0-2の2回から登板し、流れを呼び込もうと、テンポ良く投げ込んだ。6球で2死とし、天理エースの達孝太(3年)には外角いっぱいの自己最速タイ147キロ直球で見逃し三振。反撃ムードをつくると、3回に長短4安打で同点に追いついた。

しかし、4回に味方の3失策でリズムを崩し、3安打を浴びて4点を勝ち越された。5回、6回にも追加点を献上した。19年の明治神宮大会で3安打5打点と打ち込まれた4番瀬千皓(ちひろ)外野手(3年)には、この日も5打数3安打3打点と活躍を許した。伊藤は「1個上の先輩が負けている相手(スコアは6-8)で、因縁のある高校だったが、勝てなかった」と肩を落とした。

手応えと課題を持ち帰り、集大成の夏につなげる。「センバツの中で、直球がすごく良くなってきて、結果が出た。それでも、ここぞの場面でのメンタル的なところはまだまだ」。敗戦を糧に、また聖地に帰ってくる。【佐藤究】