東海大相模(神奈川)が14安打8得点で福岡大大濠を破り、3年ぶりの4強入りを果たした。

大塚主将(3年)が急性胃腸炎でベンチを外れ17人で臨んだ一戦で、主将代行を任された門馬功外野手(3年)が、公式戦初となる左越えの2点本塁打を含む3安打と大暴れを見せた。父は門馬敬治監督(51)。センバツでは75年、東海大相模・原貢監督の長男辰徳(現巨人監督)以来という親子鷹弾が、チームを勝利に導いた。

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主将代行の意地の1発だった。2点リードで迎えた2回1死二塁。「大塚がいない分、自分がカバーする」。門馬は目線を下げ、低めの球を振り切った。打球は左翼スタンドに飛び込む2点本塁打に。一塁を回り、打球を見届けると大きく右手を突き上げた。ベンチに戻ると、父である門馬監督とグータッチ。「初めてのことで、うれしかったです」と笑顔を見せた。

ここで、負けられない、もう1つの理由があった。4つ上の兄、大さん(現東海大4年)が父とプレーする姿に憧れ「自分も相模でプレーをしたい」と入学。しかし、父は厳しかった。「普通の人とは違う。これからは選手と監督としてやっていくんだぞ」と突き放された。それでも、大きな夢が支えた。兄が果たせなかった夢「選手と監督として日本一」を果たすまではあきらめない。「同じ力なら他の選手を使う」という父に認められるために、誰よりもバットを振った。努力が門馬を成長させた。

大舞台で主将代行の責任を全うした。5打数3安打2打点。二塁打が出ればサイクル安打という活躍で打線を引っ張り、成長した姿を父に見せつけた。

主将のアクシデントでアグレッシブベースボールも目覚めた。試合前のミーティングで門馬監督は「大塚の穴をみんなで埋める。1人1人が無理をせず、持っている力を出す。彼が戻るまでしっかり戦おう」と鼓舞した。大塚の代わりに遊撃を守った深谷は「僕に大塚さんの代わりはできない。でも、自分らしく守備でチームに貢献しようと思った」と丁寧に打球をさばき無失策。チームの元気印・綛田は大塚の打順である2番を任され、初回に1死から中越え二塁打。先制の口火を切った。

今年のチームのテーマは「つながる」。主将が甲子園にいなくとも、心をつなげ、気持ちを1つに戦った。チーム一丸、頂点をしっかりと見据えている。【保坂淑子】

◆準々決勝6勝0敗 東海大相模はセンバツの準々決勝で負け知らずの6連勝。準決勝は過去4勝1敗。

◆神奈川対奈良 準決勝で東海大相模と天理が対戦。過去は神奈川県勢が奈良県勢に対し春夏通算11勝1敗。両校は92年春の準決勝で対戦しており、東海大相模が3-2で勝っている。