「弱小」と言われたチームが日本一へと上り詰めた。第93回選抜高校野球大会(甲子園)決勝は、東海大相模が明豊にサヨナラ勝ち。11年以来10年ぶり3回目、春夏通算では5回目の優勝を果たし、令和最初のセンバツ王者に輝いた。タレントぞろいだった1つ上の代とは違い、チーム力が武器。大塚瑠晏主将(3年)を胃腸炎で欠いても、全員で勝ちきった。

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日本一の感想を東海大相模・石田隼都は「実感は湧かないです」と正直に答えた。関東大会準々決勝で逆転サヨナラ負けした昨秋からの甲子園優勝。「接戦を勝ちきれなかったのが秋。冬、接戦で勝とうとやってきたことが力になって、最後に出ました」と胸を張った。

同点の6回2死一、二塁で救援し、9回まで0を重ねた。5試合全てに投げ計29回1/3、無失点。45奪三振で奪三振率は13・8に上った。150キロ超の球はないが、なぜ点を取られず、三振を奪えるのか。プロのスカウトが声をそろえるのは「腕の振りが強い」だ。ある在京スカウトは「(振りが)高校レベルでは、なかなかいない」。別のスカウトも「直球と変化球では振りの差が、一瞬のしぐさ、表情などに出るものだが、それがない」と指摘。直球と同じ振りで投げるチェンジアップで空振りを奪う。

後者のスカウトは、別視点からも評価した。「左の長身は制球が悪い場合が多いが、183センチあって制球がいい。バランスの良さ、体幹の強さだろう」。今大会、わずか2四球。さらに、走者三塁で三振を奪えるのは経験値の高さとみる。あくまで現時点の評価だが、上位指名もあるとした。