<センバツ高校野球:東海大相模3-2明豊>◇1日◇決勝

優勝を決めたのはセンター返しの打球だった。9回1死満塁。東海大相模・小島大河捕手(3年)が遊撃手を強襲して三塁走者をかえした。「みんながつないでくれた。自分で決めてやろうと思った」。基本といわれるセンター返し。逆方向を含めて、9安打中の5本がそれだった。

1点目はスクイズで奪った。堅い攻めを重ねた。10年前の東海大相模とは別人の攻撃だった。83回大会は5試合で74安打し、4本塁打を放った。打率4割。パワーで他校を圧倒した。今大会の東海大相模は、2割7分2厘、1本塁打。センター返し、逆方向への安打が46本中の59%を占めた。

今大会は通算本塁打9本が示すように「投高打低」だったかもしれない。全チームを対象にした打率は、2割3分9厘。前回19年大会の2割5分7厘、19本塁打を下回った。コロナ禍で制限も多かった部活動が数字に表れたのだろうか。

門馬敬治監督(51)は試合後、こう話した。「明豊に押されていた。なんとか踏みとどまって、それがサヨナラにつながったと思います」。我慢を求められることの多かった大会、優勝も我慢の末のものだったようだ。【米谷輝昭】