日本航空が、センバツ優勝の東海大相模から金星を挙げた。豊泉啓介監督(36)は「奇跡みたいな結果が、あっていいのかなと。(選手に)今までにないくらいの自信がつくと思う」と話した。

今大会から背番号1をつける左腕ヴァデルナ・フェルガス投手(3年)が、9回を被安打8の3失点(自責2)、8奪三振、143球で完投した。

188センチの長身から角度のある球を投げ、自己最速を2キロ更新する136キロの直球と緩いカーブ、曲がりの大きいスライダーの3球種で東海大相模打線を抑えた。9回2死で門馬を二ゴロに打ち取ると、大きなガッツポーズで笑顔を見せた。「素直に、うれしかったです」と話した。

父がドイツとハンガリーのハーフ、母は香港で、英語と日本語を操る国際派。2回の第1打席で左膝に死球を受け「ずっと痛かった。痛い中で、なんとか踏ん張って投げられました」と明かした。

初回に2安打を許し1点を先制されたが「なんか、いける気がする。自分の球が通用すると思った」と手応えがあったという。

センバツ優勝校を倒し、初戦を突破。視察に訪れたプロスカウトからも高評価で一気に注目を集める存在となった。憧れはパドレス・ダルビッシュ有投手。進路については「勉強も得意だけど、勉強より野球が好き。野球を続けるとなったら、将来はプロ野球選手になりたい」と話した。

豊泉監督は「ヴァデルナに尽きる。いけるところまでいこうと思っていた。ここまで抑えるとは、うれしい誤算です」と喜んだ。

◆ヴァデルナ・フェルガス 2003年(平15)10月13日生まれ。大阪府阪南市出身。小1から桃の木台スターズで野球を始める。大阪泉南ボーイズを経て、日本航空入り。得意な教科は英語と数学。憧れはダルビッシュ有投手。父は英会話の先生。日本語は幼稚園で習得。左投げ左打ち。188センチ、86キロ。