宿敵対決を制した。八戸学院光星が3-2で青森山田を撃破。同点で迎えた延長10回に伊藤巧将捕手(3年)が、値千金の勝ち越し本塁打を放った。投げては7回から2番手で登板した最速147キロ右腕、横山永遠(とわ)投手(3年)が4回を4安打1失点の好投。9回1死満塁の大ピンチを切り抜け、チームに勝利を呼び込んだ。

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劇的勝利で「青森黄金カード」を制した。2-2で迎えた10回1死。伊藤が右打席に入った。マウンドにはプロ注目右腕、藤森粋七丞(いきなすけ・3年)が立っていた。伊藤は「しゃー!」と声を上げて、バットを構える。カウント1-0からの2球目。内角直球を振り抜いた。打球は高々と舞い上がり、左翼ポール際へ吸い込まれていった。「走りながら『入ってくれ』と叫んでいた。入った瞬間は、とてもうれしかった」。一塁ベースを蹴ったところで、右手拳を突き上げた。

「一発で捉える」。普段の打撃練習から、チーム内で意識し続けることだ。マウンド数メートル手前に打撃マシンを設置。打撃投手も同位置から投げ込むなど、近距離からのボールを打ち続けた。「まだまだミスショットすることもあるけど、練習の成果を出せたと思う」と殊勲打につなげた。

投げてはエースの横山が力投した。9回1死満塁。一打出ればサヨナラ負けを許す、絶体絶命のピンチ。「気持ちだけは負けないように投げた」。後続を右飛、見逃し三振で切り抜けた。1点リードした10回は3者凡退。最後の打者を二ゴロに仕留めて、渾身(こんしん)のガッツポーズ。「気迫のこもった投球ができた。試合に勝てたことが良かった」。魂の66球で勝利を呼び込んだ。

宿敵同士の一戦だった。青森山田とは直近で3度目の顔合わせ。昨夏の県独自大会は5-8で敗れ、昨秋の県大会準々決勝では3-2でサヨナラ勝ち。横山は「いつも対戦している相手。ライバル意識はすごくある」。春の県王者に向けて難敵撃破で弾みをつけた。【佐藤究】

 

○…プロ注目の青森山田・藤森が初戦で姿を消した。6回から2番手で登板。キレのある直球を投げ込むも、1点リードの9回に同点とされ、延長10回に左越え本塁打を浴びて力尽きた。「調子は悪くなかったけど、コースに決め切ることができなかった」と唇をかんだ。「要所での投球を意識しながら、夏はチーム全員で向かっていきたい」。夏連覇を目指し、ノーシードからの巻き返しを誓った。