2年ぶりに開催した東北各県の春季大会。上位校で争われる東北大会(秋田)はコロナ禍の影響で中止になったが、夏本番に向けて、東北球児たちが熱い試合を繰り広げた。今回は「みちのく高校野球・春」を3県ずつ振り返っていく。第1回は青森、岩手、秋田です。【佐藤究】

【青森】 

八戸学院光星が、2季連続Vを飾った。初戦から「強豪対決」が実現した。昨夏の青森県独自大会の覇者、青森山田を延長10回の末に3-2で撃破。9回1死から同点に追いつき、伊藤巧将捕手(3年)が、今秋ドラフト候補の相手エース藤森粋七丞(いきなすけ)投手(3年)から決勝弾を放った。

八戸学院光星は続く3回戦で、今春センバツに21世紀枠で出場した八戸西に6-5で競り勝ち、準決勝・東奥義塾に4-3。3戦連続で1点差勝負をものにした。八戸工大一との決勝戦は、10-5で逆転勝ちし、春の県頂点に立った。

【秋田】 

明桜の2年ぶりの春優勝で幕を閉じた。主役は今秋ドラフト上位候補の最速153キロ右腕、風間球打(きゅうた、3年)だ。2試合に登板し、計12回を3失点、防御率は2・25。驚異の24三振を奪うなど、東北NO・1投手の実力を見せつけた。この大会では絶対的エースに次ぐ存在として、背番号6の石田一斗(いっと)内野手(3年)が台頭した。準々決勝で公式戦初の9回完封を飾り、決勝戦では138球の熱投の2失点(自責1)完投でチームの優勝に大きく貢献、急成長を遂げた。他にも4強に入った秋田南には最速139キロのサイド右腕、塚田将正(2年)、春準Vに輝いた秋田中央のサブマリン右腕・湊優成(3年)の好投が光った。

【岩手】 

昨秋の東北大会4強の花巻東が、圧勝Vで3大会連続優勝を決めた。盛岡大付との決勝戦。先発した技巧派左腕・中居颯真(3年)が強力打線を相手に9回を6安打無失点。「公式戦初完封」を飾った。打っては、18安打15得点の猛攻。佐々木洋監督の長男・麟太郎内野手(1年)が先制アーチを含む、3安打6打点と大暴れ。今大会では合計4本塁打を放ち“ルーキー”とは思えない、堂々の活躍だった。他にも1年生3人がベンチ入り。18人中13人が下級生と若い力で春の大会を制した。

夏の県大会まで、残り約1カ月。青森は7月13日、秋田は同9日、岩手は同7日に開幕する。青森は、夏連覇を狙う青森山田、3季連続Vを目指す八戸学院光星、今春センバツで甲子園を経験した八戸西を筆頭に、春準優勝の八戸工大一、同4強の東奥義塾など混戦模様だ。秋田は、昨夏王者の明桜がエース風間を中心に甲子園出場を目指す。岩手は花巻東を筆頭に、昨秋王者の盛岡大付、昨夏覇者の一関学院がV候補に挙がる。

夏の甲子園出場を懸けた熾烈(しれつ)な戦いが、もうすぐ始まる。(つづく)