夏甲子園に向けた2年ぶりの戦いが、全国トップを切って南北海道の札幌、室蘭地区で開幕した。室蘭地区では、鵡川が苫小牧南に10-1で快勝。過去に旭川南など3校で計4度甲子園に出場し、今春から指揮を執る小池啓之監督(69)の就任後の公式戦初勝利となった。19年秋以来の有観客となった札幌地区は、大麻など3校が勝ち上がった。

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試合を終えた直後、鵡川の小池監督がつぶやいた。「疲れました」。15安打10得点の快勝で今年3月に就任してから約3カ月、公式戦初勝利を飾った。過去に旭川南など3校で計4度甲子園出場経験のある監督は、それでも「やっぱり中盤に中押しができなかった。まだまだ力不足だな」と、さらなる選手の成長を期待し、注文をつけた。

5月の春季地区予選は、初戦の2回戦で室蘭栄に1-3で敗れた。「春は本当に僕の責任で(選手の)名前と顔がようやく一致するかなって感じだった。性格的なものが全然読めなかった」と振り返る。「もう危機感というか(3年生は)最後ですから。子どもたちの性格がわからないと、なかなか指導ができない」と夏を見据え、選手たちと正面から向き合った。

山崎航生主将(3年)は期待の裏返しで特に厳しい指導を受けた。春の敗戦直後「お前が変わらなければ、このチームは変わらない」とハッパをかけられた。それを機に行動は変化した。朝5時に起床し、グラウンドでの守備練習が日課となった。当初は周りから「ユニホーム着てどうしたの?」と言われたが、主将の行動は少しずつチームに刺激を与えていった。

1日500~1000本、バットを振り込んできた成果も結果に出た。山崎はこの日2点リードの2回。2死二、三塁で左翼に適時二塁打を放つなど2安打3打点。「ひたすら練習するしかないと小池監督から言われていた。まだ甘いけど練習してきた成果が少し出てきたんじゃないかな」と、手応えを感じた。

小池監督は試合前日、鵡川の元監督で砂川北も含め春夏計6度甲子園に出場した故佐藤茂富氏の墓前に立った。チームスタッフらとともに「一生懸命やるので、見守ってください」と願い、この日の勝利につなげた。山崎は次戦に向け「まだまだ反省点はある。次の試合はまた違った姿をみせられるようにしたい」。この1勝をステップにまずは地区突破を狙う。【山崎純一】

▽鵡川・佐々木駿哉投手(3年)(8回1失点) 今日は調子がいい感じで試合に臨めた。(7回の)満塁の場面では気迫の投球ができた。

◆鵡川の夏成績 19年まで南北海道大会出場6度。初出場時の01年のほか、05、06年と3度のベスト8が過去最高。昨年の道高野連独自開催は、南北海道大会1回戦で立命館慶祥に9-12で敗れた。