夏の奈良大会組み合わせ抽選会が2日に行われ、来年3月に閉校する部員10人の平城は13日に奈良との対戦が決まった。

入学時から閉校は決まっていた。下級生はおらず、整備や球拾いで大所帯に効率で劣るが、ノックで外野が内野に加わったり、実戦形式では走者を仮定したり工夫してきた。エースの寺山継介投手(3年)は「ノック練習も人数が少ない分、数は負けていない。苦労していると思ったこともない」と前向きだ。

チームスローガンは「和」。全員で意見を出し合い決めた。10人が1つになること。そして、吉岡健蔵監督(60)はじめ2人のマネジャー、練習に加わってくれるOBや保護者らのサポートに感謝すること。対外試合の解禁前にはOBが集まってくれ、紅白戦が出来た。主将で4番の福角健太捕手(3年)は「すごく力になります。自分たちもしっかり全力プレーを見せないと、と気が引き締まる」と語った。

42年の歴史に幕が下りる毎日が最後。平城を率いて12年の吉岡監督は「1回でも多く校歌を歌いたい。最後ですから」とかみしめた。福角も「楽しみとドキドキが入り交じっているが、勝って恩返ししたい」と誓った。3年間整備してきたグラウンドは今、他の部活が活動を終えてほぼ「野球部専用」。遠慮なく強い打球を飛ばせている。10人の和を強くしてくれた全ての人に感謝し、まずは初戦を突破する。【三宅ひとみ】