市尼崎の“佐藤輝明2世”が体を張って、初戦コールド突破に貢献した。3番米山航平外野手(3年)は打席に4度立ち、3四死球。初安打こそなかったが、2得点をマークした。

9-1で迎えた5回裏無死一塁の第4打席。阪神、巨人など4球団のスカウトが見守る中、1発ならコールドを決める“サヨナラ2ラン”だったが、フォア・ザ・チームに徹した。カウント3-1から、内角のボール球を見極めた…と思ったら、右の腰付近に当たった。痛みにちょっとだけ顔をしかめて一塁へ。8番松原慶太(2年)の右前打で11点目、“サヨナラ”のホームを踏んだ。

「もちろん(安打が)1本出ればうれしいですが、四球でも死球でも塁に出てチャンスメークを、と思っていました」と3四死球の2得点を喜んだ。2回の第2打席、フルカウントから伊丹西の右横手投げ・桑名良次(3年)の内角球で三振を食らった。「カット気味で落ちてきた。初めて見た球」と仕方ないと言い、むしろカウント2-1からのボール球を空振りしたことを「あれは反省です」と後悔した。

ちょっとやそっとの死球は問題ない。よく似た顔、左打ち、スイングとともに188センチ、95キロの巨体が“佐藤輝明2世”と呼ばれるゆえんだ。主将の広井康慎捕手(3年)が「あいつの太もも、見て下さい。チーム一。太もも、馬みたいでしょう」とあきれる。米山のユニホームは“3代目”だ。初代はサイズOで入部直後にまた下が破けた。現在は「XXO、XXXOぐらい」で、父特製の“味タマゴ”などでタンパク質を補充し、体をキープする。

個人記録に執着しない。高校通算本塁打も夏前の自称「10本ぐらい」から「12本ぐらい」になったというが適当だ。今春のセンバツ出場校・東播磨に昨秋県大会3回戦で1-2と惜敗した。春季県大会は3回戦で神港学園に2-6だった。「上の方で勝つには、ヒットだけじゃ難しい。バント、走塁の意識を高めて、とみんなで話しています」。結果的に1発出れば…。日本一を目指す本家のように、佐藤2世も甲子園しか頭にない。