昨夏の独自大会準優勝校で第2シードの相洋が、18安打24得点で5回コールド勝ちをおさめた。3番に入った二刀流、二宮巧磨主将(3年)が、攻守にわたり躍動し、初戦突破に貢献した。

1回1死一塁。1-0から甘く入った直球を見逃さず右前打でチャンスメークすると、2回には左前に落とす適時二塁打を放った。後続の左飛で二塁から三塁へ難なくタッチアップを決めた場面では50メートル6秒0の俊足も披露した。終わってみれば5打数4安打4打点の大活躍だった。

春の大会後から本格的な練習を始めたという投球は、3回2安打無失点。4回からついた遊撃の守備では、難しい打球を軽快にさばいたが、投手へのこだわりが強い。「投手はショートよりも攻めていけるのが魅力。自分が試合を作ってチームを乗せられたら」とフル回転を誓う。

昨夏の独自大会では、2年生ながら1番の崎元涼介内野手(3年)とともに決勝の大舞台を経験。「先輩のおかげで緊張しなかった」と、1安打2打点の活躍を見せた。今度は自分が引っ張る番。「下級生の力を借りるチーム。彼らの力を引き出すのが3年生の仕事」と、1、2年生のベンチ入りが13人と実戦経験の浅いチームを、プレーや声出しで引っ張っている。

下級生も活躍し、快調な滑り出しを見せた。高橋伸明監督(36)も「3年生の落ち着きを感じた。ベンチの中で後輩たちの道しるべになっている」と、うなずく1勝。19年夏の準々決勝では3点差、昨夏の決勝では8回に逆転を許し4点差で敗れた東海大相模とは、共に勝ち上がれば準々決勝で対決する。主将は「3回も負けたくない。先輩たちの分も去年を超えたい」と雪辱を誓う。「地元の仲間たちと甲子園に行きたい」と選んだ相洋。二宮の最後の夏が、幕を開けた。