奈良で有数の進学校の畝傍(うねび)が期末テスト後に駆けつけ、夏1勝を挙げた。文武両道のお手本のような1日だった。コロナ禍で休校したため、期間がずれ、この日が1学期の期末テスト初日だった。異例のケースに「初めて」と苦笑いしたのは先発した浜崎恵太郎投手(3年)だ。

ナインは午前中からペンを握って解答用紙に書き込んだ。午後4時にプレーボールすると、バットに持ち替えて11安打7得点。白球を握った浜崎は初回に3安打されたが外野からの本塁好返球にも助けられて先制させない。「最後、ゼロに抑えればいい。走者を出したことは気にしなかった」。5回まで毎回走者を出したが、7回1失点だった。

浜崎には夢がある。「経済を勉強したい」。国公立大を志望する。平日は2時間半の練習から帰宅後、2時間ほどの勉強が日課だ。将来、起業家になるビジョンがある。「ライバルが少ない分野で新しいことをできれば需要があります」。この日、現代文と政治経済の考査も真剣勝負だった。

野球部から京大や阪大、神戸大などに輩出。駒井彰監督(58)も「明日もテスト。早く帰って勉強させないといけません」と言い、次戦の郡山戦を見据え「挑戦者です」と気合だ。昨秋、今春の県4強の実力を持つ。夕暮れ時、さっそうと帰る姿が光っていた。【酒井俊作】