<高校野球奈良大会:磯城野9-3桜井>◇15日◇2回戦◇佐藤薬品スタジアム

ナックルボーラーの夏が終わった。桜井(奈良)の先発岡本斉悟投手(3年)は初回から苦しんだ。自慢の武器が決まらない。1死から4者連続四球など計6四死球で3失点。続く2回も押し出し四球で追加点を許した。2回裏の攻撃前に降雨で試合は中断。追い詰められた岡本はベンチで考えた。「流れを変えたくて」。試合再開で、3回はストレートを投げ無失点に抑えた。

それでも磨いてきたナックルボールをあきらめきれない。4回無死一、三塁。相手の4番に対し、決め球で勝負。左翼への犠飛ではあったが、ヒットは許さなかった。「打たせてやろうと。自分をぶつけました。スピード投手には負けたくないので」。高校最後のイニングとなった4回は1失点で切り抜けた。最後の意地だった。

小学5年生の頃に、遊び感覚でナックルボールを覚えた。「高校では直球が通用しない」と投手として生きる道を模索して、全国でも珍しいナックルボーラーになった。最後の夏は4回5失点で初戦敗退。悔しい結果に終わったが、岡本は胸を張る。「チームの誰よりも投げて練習してきたので」。高校での3年間が自信になった。【関野真佑】