池田が、昨夏の独自大会と昨秋、今春の県大会を制して第1シードだった鳴門に逆転勝ちした。

プロ注目の最速149キロ右腕、篠原颯斗投手(3年)が10安打を浴びながら、9回4失点と粘って127球完投。5四死球と制球が安定せず、苦しみながらも逃げ切った。最速は初回の146キロだった。打線は0-2の6回に打者一巡で4点を奪って逆転し、7、8回も1点ずつ加えて突き放した。

優勝候補を撃破し、篠原は校歌を歌いながら号泣。「鳴門を倒すことが目標だったので、達成した喜びがこみ上げて、涙を止められなかった。勝って泣くのは初めてだった」と目を真っ赤にした。鳴門には、6月12日の練習試合で5回6失点でKOされていた。右腕は「1カ月前の練習試合ではインコースが苦手だったが、克服しました」と最後の夏に向けて修正してきた。

篠原は1回戦の阿南高専戦で高校初の完封を決めており、これで2戦連続の完投勝利。「鳴門に勝てたことは大きいこと。気持ちを切らさずに、優勝するために乗り越えないといけないところだった」と、この1勝の重みをかみ締めた。井上力監督(52)は「それぞれが持ち味を生かして積極的にやってくれた。ここ数年でのベストゲーム」と投打一丸で戦ったナインを絶賛。92年以来、29年ぶりの夏の甲子園へ向けて、かつて「やまびこ打線」で沸かせた池田が加速した。

鳴門は18、19年に夏の甲子園大会に出場し、昨夏の独自大会でも優勝。夏の初戦で敗退したのは09年以来、12年ぶりだった。