福岡大会は17日、久留米市野球場などで4回戦が行われた。センバツ8強で89年以来の夏の甲子園出場を目指す福岡大大濠は、8-1で新宮に7回コールド勝ち。ドラフト候補の毛利海大(かいと)投手(3年)が4回に今夏初登板し、4イニング1安打無失点。発熱で3回戦登板を回避するなど体調が心配されたが、エースの復活で夏を戦う態勢が整った。

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プロ注目のエースが、鬼になった。1-1の4回無死一、二塁。先発森本光紀投手(2年)がピンチを招き、毛利が今夏初のマウンドへ。「2、3回戦は(2戦連続先発の)森本のおかげで勝てた。ピンチで、抑えてやろうと思った」と、闘志をむき出しにした。

気持ちが高ぶり、最初の打者には3球連続ボール。そこから、エースの意地を見せた。3人で打ち取り、得点を許さず。この日の最速は138キロ。4イニングで64球、3四球と万全ではなかったが、センバツ8強左腕の貫禄を見せた。4回裏に勝ち越しソロが出るなど、チームに勢いももたらした。打っては7回1死二、三塁。自ら、7回コールドを決める右越え適時打を放った。

先発予定だった12日の3回戦は、発熱による体調不良で回避。11日は微熱だったが、一時は39度まで上がった。新型コロナウイルス感染も心配されたが、PCR検査で陰性だった。14日にようやく練習を再開。この日も病み上がりの体調を考慮され、50球をめどに後半を託される予定だった。想定より早い登板にも、気合が入った。

4月の春季九州大会以降は、福岡県で発令された緊急事態宣言の影響もあり、練習試合は6月20日まで禁止。その後、センバツ準Vの明豊(大分)などとの練習試合2戦に先発したが、実戦不足は否めなかった。それでも、エースとして試合を作った。春夏連続の甲子園へ、大黒柱が戻ってきた。【菊川光一】

◆毛利海大(もうり・かいと)2003年(平15)9月14日、福岡・田川市生まれ。野球は小2から「伊田レッドスター」で始め、小6でソフトバンクホークスジュニア選出。伊田中では「鷹羽ボーイズ」でプレー。同3年でボーイズリーグ日本代表。福岡大大濠では1年夏からベンチ入りし2年秋からエース。左投げ左打ち。176センチ、75キロ。