福岡大会4回戦が18日、北九州市民球場などで行われ、11年ぶりの甲子園を目指す西日本短大付が県立の育徳館に10-7の辛勝で16強に進出した。

プロ注目の最速143キロ右腕、大嶋柊(しゅう)投手(3年)は2度の満塁のピンチで救援登板。3回は無失点に抑えたが、7回はヒットに失策も絡んでチームが4点を失った。だが「最後は気持ちしかなかった」と執念で試合を締めた。

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プロ注目右腕の大嶋が苦しみながらも、エースの真骨頂を発揮した。うだる暑さの中、2度の満塁のピンチで救援するタフネスぶり。4回戦突破を導いた。

1度目は3-1の2点リードで迎えた3回。先発の林佑哉投手(3年)が1点を失い、なお2死満塁となった場面。「点差があったので、1点まではオーケーのつもりだった」。相手5番打者を決め球のツーシームで左飛に斬りピンチを断った。4回も続投し、1回1/3を18球、1安打無失点でしのぐと、5回からは左翼守備に就いた。

だが試合は、西村慎太郎監督(49)が「苦しかった。夏は簡単に勝たせてくれませんね」と話したように、県立校の育徳館に大苦戦を強いられた。9-3の6点リードで迎えた7回。3番手登板の江川颯太投手(2年)がピリッとせず、今度は1死満塁のピンチを招いた。マウンドを託されたのは、またも大嶋だった。

「途中からで準備ができず難しかった。(リリーフは)練習試合ではあったけど、公式戦は雰囲気が違った」。相手8番から2連打を浴び、失策もからむなどチームは4点を失った(大嶋は失点1、自責0)。それでも「いい感じで開き直れた。点差が縮まり最後は気持ちしかなかった」と吹っ切れた。8、9回は落ち着いて相手の反撃を無失点に抑え、3点差で逃げ切った。

20日の5回戦はプロ注目右腕、稲川竜汰投手(3年)を擁する折尾愛真とヤマ場の対決を迎える。「(この日は)ストライク先行ではなく、球数が多かったので、先手先手で相手を抑え込んでいきたい」と気合を入れた。10年以来6度目の夏の甲子園へ、辛勝がハートを引き締めた。【菊川光一】

◆大嶋柊(おおしま・しゅう)2003年(平15)7月24日、福岡県筑後市生まれ。古川小1年時に古川ジュニアーズで野球を始める。筑後中では硬式の筑後リバーズでプレー。西日本短大付では2年生の秋から背番号1を背負う。球種はスライダーとカットボール、チェンジアップ、ツーシームなど多様。右投げ右打ち。175センチ、74キロ。