高校野球福岡大会は19年王者の筑陽学園が北筑を下してベスト8に進出した。最大4点ビハインドからの逆転勝ち。今夏は初戦から4試合連続の2桁安打と勢いが止まらない。23日の準々決勝はドラフト候補の最速140キロ左腕、毛利海大投手(3年)を擁する福岡大大濠と対戦する。強力打線VS県内屈指のプロ注目左腕。注目の好カードだ。

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19年の夏大会を制した筑陽学園が、王者の意地を見せた。最大4点のビハインドから食らいつく。1点差まで詰め寄った7回、主将の大内来汰(らいた)内野手(3年)が左翼へ公式戦1号となる同点ソロ。その後1死から、向井康介内野手(3年)が勝ち越しソロを左翼席へ運んだ。1イニング2発で逆転。6-5で逃げ切った。

向井 大内が同点ソロを打ってくれたので、気楽にバットを振ることができました。3打席目に(相手の)球威が落ちていると感じたので、自分のスイングをすることを心がけました。

値千金の決勝ソロに笑顔。この日は1発を含む3長打で勝負強さを発揮した。

3回に5点を失った直後の攻撃で、先頭が三振。劣勢ムードを感じ取った江口祐司監督(58)は、ナインにカツを入れた。「まだ分からんぞ。必ずチャンスはくる。プレッシャーがかかった方が負ける。ノンプレッシャーでいけ!」。

指揮官のゲキに発奮し、その後4、6、7回に得点。向井が「バッティングでも守備でも攻めていこうとみんなで決めました」と話すように、19年の福岡王者が意地の逆転劇を演じた。江口監督は「元来の筑陽学園の粘り強さがやっと出てきた。強くはないかもしれないけど、簡単には負けないチームを目指してやっている。そこが出たかなと思います」とナインをたたえた。

23日の準々決勝ではドラフト候補左腕、福岡大大濠・毛利を迎え撃つ。決勝ソロを放った向井は、小6の時にソフトバンクジュニアで毛利とチームメートだった。「負けないようにしたい。打てるように頑張っていきます。楽しみです」。今夏4試合連続2桁安打と波に乗る強力打線が、毛利に立ちはだかる。【只松憲】