春県王者の新潟産大付は新津工を12-2の5回コールドで下し、18年以来の準決勝に進出した。2回、先頭で左前打の鈴木健太郎左翼手(3年)がこの回2度目の打席で3点三塁打を放つなど打者13人の猛攻で大量8得点した。

ボールは伸びた。5-1の2回1死満塁。打った鈴木が「詰まった。捕られるかな」と感じた打球は中堅手の頭を越えた。走者一掃の左中間三塁打だった。一挙8得点した2回の総仕上げになる長打。同回は先頭の左前打で打線に勢いをつけ、1死満塁では決定的な快打を放った。

吉野公浩監督(54)が「打順を入れ替えた」という準々決勝のラインアップでも、鈴木の4番は不動だった。「打線の顔。外せない。長打と流れを変える一打がある」と指揮官は話し、その言葉を証明する打撃を鈴木は見せた。2回は先頭でチーム初安打となる左前打。以後の5連打で圧勝への流れを作り、2巡目の打席での長打で相手にダメージを与えた。「しっかり振って強い打球を打つこと」という持ち味を見せた。

春の県王者が見ているのは甲子園初出場だけ。吉野監督は「ウチは100か0か。初出場できるか、負けるか。火の玉になって挑みたい」と強い決意を見せた。初甲子園までは、あと2勝。「チームが沈んでいる時に勢いをつける打撃がしたい」と、鈴木も勝利のために4番打者の役割を果たす決意だった。【涌井幹雄】