第3シードの大森学園が、からくも逃げ切った。5回表までに7点をリード。ところが、5回裏に失策絡みで4点を失うと、7回、8回にも1点ずつ失い、1点差。さらに9回裏も2死一、二塁と攻められた。最後の打者を投ゴロに仕留め、なんとか逃げ切った。

高校野球にセーフティーリードはない? そう問われた石黒隼監督(32)は「私もそう思いました」と胸をなで下ろした。死球や敵失でもらった走者を確実にかえし、課題だった序盤の入りはクリア。ところが、今度は自チームの失策が失点につながった。

遊撃で起用した半田夢叶内野手(3年)が3度、一塁悪送球。「自分のエラーで点を取られて、メンタルに来ました。でも、副キャプテンなので、周りを引っ張ろうと意識しました」と打ち明けた。実は、1カ月ほど前の練習試合で右手親指を痛めた。治療を優先したため、この日が、それ以来の実戦だった。それでも、打撃でみせた。初回、2回と適時打を重ね、計3打点だ。

石黒監督は「普段は(送球も)できる選手。暑さで足をつったこともあるのでしょう。彼中心のチーム。大事なところで打ってくれますから」とかばった。半田は「次は、打撃でみんなを勢いづけて、守りではエラーしないよう、攻めのプレーを見せたい」と言った。勝ったから、反省を生かす機会がある。