高田商が劇的なサヨナラ劇で、プロ注目右腕、天理・達孝太投手(3年)を打ち破り、19年以来の決勝進出を決めた。

1点リードで9回を迎えたが、1死二、三塁から天理・内山陽斗外野手(3年)に右翼線へ逆転2点二塁打を許した。今春センバツ4強校に土壇場で試合をひっくり返されたが、ナインはあきらめなかった。

1点を追う9回裏の攻撃。先頭が空振り三振に倒れたものの、次打者の東口虎雅(たいが)外野手(1年)が相手失策で二塁まで進塁。次打者は主将の津田侑輝内野手(3年)。「東口が出てくれると信じていた」と右打席に入った。そのキャプテンは、実は手応えを感じたまま、達と対していた。「5回に(投手が)達に代わって、先頭打者が自分だった。(その打席は)三振だったが意外とバットに当たるな、と思った。これはチャンスあるな」。

そして「1・2キロの重たいバットを振り込んできた。角度のある直球には振り負けない」。真ん中付近の直球を中堅にはじき返した。「捕られると思ったが、気持ちで(中堅手を)越えた」。打球が転々とする間に津田は50メートル走6秒2の快足を飛ばし三塁へ。さらに中堅手が打球処理をもたつく。「三塁ベースコーチの松山が腕を回していたので信じてホームに行きました」。サヨナラのホームに頭から突っ込んだ。「うれしすぎて言葉にできないです。ほんと、うれしいです」。舞い上がる砂ぼこりの上に、津田の白い歯が一層輝いた。

63年以来58年ぶりの夏の甲子園へ、あと1つだ。