明徳義塾(高知)が今秋ドラフト上位候補の高知・森木大智投手(3年)を攻略し、2大会連続21度目の甲子園出場を決めた。投げ合いを制したのはプロ注目の左腕エース、代木(しろき)大和投手(3年)だ。低めに集め、3失点完投で歓喜の輪に仁王立ちした。

3年間は、この一瞬のためにある。8回、同点にされて馬淵史郎監督(65)から交代を打診されたが続投志願。9回も耐えた。「最後の夏、ここで自分が投げて集まるんだという気持ちを持ってやってきた」。指揮官も「情にほだされた。アイツの、日頃の練習の多さを見て、そこまで言うなら行けとね」と感心した。

センバツは仙台育英(宮城)に惜敗。代木は監督に指摘された。「右打者も左打者もインコースを使わんと勝てん」。ブルペンでは打者を立たせ、懐を突く練習を繰り返した。1点リードの7回1死一塁。4番に内角速球を立て続けに投げ、二塁併殺打に抑えた。

難敵森木には春季四国大会で敗れた。名将は指示を出す。「球数を投げさせろ。待つとスイスイ行かれる。甘い球は、1球目から打っていい。森木投手への重圧になる」。2、8回は無安打で得点。9回は息切れの剛腕をKOし、3安打3得点で引導を渡した。計算通りの試合運びで名門の意地が光った。【酒井俊作】