高校野球山口大会の決勝が29日に行われ、高川学園が5年ぶり2度目となる夏の甲子園出場を決めた。昨年の独自大会に次ぐ“2連覇”。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、聖地への夢を断たれた先輩たちの無念を晴らした。

エースと主砲が頂点へ導いた。先発左腕の河野颯(はやて=3年)は4安打1失点で完投。今夏は2回戦の下松戦から全5試合、39イニングを防御率0・69で投げ切った。「しんどい試合もありましたが、野手が点を取ってくれたので投げやすかったです」。4番の立石正広内野手(3年)は1回に先制適時打。3-1の5回には、左翼へ公式戦1号となるダメ押し2ランを放った。「ギリギリかと思ったけど(スタンドを)越えてくれて良かった。めちゃくちゃうれしかったです」。

2人は同じ高川学園中出身。同中の野球部はリトルシニアリーグの中国支部に所属しており、河野と立石は6年間ともに硬式球を追いかけてきた。中3夏に行われた「東アジアU-18宮崎大会」では、中学最後の試合で完封負け。河野が完投するも、立石ら野手陣が援護してやれなかった。「(河野)はやては完璧だったのに…。すごく記憶に残ってます」。

3年前の力投を救えなかった同学年左腕を、この日は2安打3打点で優勝投手にした。本塁打の後、2人はベンチで歓喜の抱擁。河野は「一番頼れる4番です。ホームランを打った時には泣きそうになりました」と、固い絆で結ばれた主砲をたたえた。

甲子園に出場した84年のセンバツ、16年の夏はともに1回戦敗退。悲願の聖地1勝を刻むチャンスを5年ぶりにつかんだ。松本祐一郎監督(34)は「まず1勝。初戦を突破して一気に日本一へ駆け上がれるように勢いをつけたい」と、勝って兜の緒を締めた。【只松憲】