プロ注目3本柱の必死のリレーで、愛工大名電(愛知)が3年ぶりに頂点に立った。

初回に最速149キロ右腕の野崎健太投手(3年)が2点を先制された。「直球が高めに浮いてしまった。チームに申し訳なかった」。その裏の攻撃が終わった直後に、雷の影響で1時間49分にわたり、試合が中断した。この時、主将の田村俊介投手(3年)が自らブルペンに向かい、登板を直訴した。「調子が良かった」。左腕は、試合再開後の2回からマウンドに上がり、変化球を低めに集めた投球を披露。4回を無失点に抑え、チームに流れを呼び込んだ。

6回からは準決勝で114球完投した寺嶋大希投手(3年)がバトンを受け継いだ。「少しもたついたがやってきたことを出せた」。3失点しながらも粘る享栄打線を振り切った。準々決勝で東邦、準決勝で中京大中京を下し、「私学4強」との対決をすべて制した。倉野光生監督(62)は「初戦から楽な試合は1つもなかった」と振り返る。主将の田村は「激戦の愛知を勝ち抜いたことを自信に全国制覇を狙う」と宣言。全国屈指の投手力で、夏の甲子園初優勝を狙う。【山崎健太】