「盛付劇場」は夏の聖地に舞台を移す。4年ぶり11度目の全国高校野球選手権(9日開幕、甲子園)に出場する盛岡大付(岩手)は1日、同校グラウンドで約5時間の練習を行い、本番モードで汗を流した。抽選会の3日に甲子園メンバーを発表し、5日に大阪入りする予定だ。

「ナイスバッティング」。ナインの元気な声が響き渡る。甲子園出場を決めても練習風景は変わらない。12メートルの近距離から打撃投手が投げ込む。打撃マシンは160キロに設定。主力組はバットで快音を鳴らし、振り負けることはない。夏の大舞台に向け、仕上がりは順調だ。田屋瑛人主将(3年)は「身が入っている。また一から鍛えているところなので、みんなで元気を出しながら、雰囲気良くできている」と納得の表情で、汗をぬぐった。

破壊力抜群だ。夏の岩手大会で1桁背番号をつけた9選手の高校通算本塁打数は計280発。一冬を越えてスケールが増し、数字となって表れている。今冬は恒例の“雪上打撃”でバットを振り込み続け、ウエートトレーニングで体も一回り大きくなった。プロ注目で同チーム最多の64本塁打を放つ松本龍哉内野手(3年)は言う。「春先から打球の質が変わって、飛距離も伸びた。冬の取り組みが甲子園出場という最高の形につながった」。

同大会では2回戦から全5試合で50得点を挙げた。全試合中軸で先発出場した金子京介内野手(3年)が5試合連続本塁打をマークするなど、伝統の強力打線を武器に、聖地切符をつかんだ。関口清治監督(44)は「攻撃に関しては、過去のチームと比べても、1番、2番を争います」と自信をのぞかせた。田屋主将は「甲子園でも自分たちのスタイルは崩さない。打って、打って、勝ち切りたい。目標は全国制覇」と力強く言い切った。17年夏の過去最高成績の全国8強超え、その先の東北勢悲願の日本一へ-。さあ「盛付劇場」の開演だ。【佐藤究】

夏の岩手大会で「1番」から「9番」の背番号をつけた各選手の高校通算本塁打数は以下の通り。

1番 渡辺翔真 20本

2番 田屋瑛人 5本

3番 金子京介 56本

4番 南早羽己 7本

5番 松本龍哉 64本

6番 佐々木一晃 7本

7番 平内純兵 35本

8番 新井流星 39本

9番 小針遼梧 47本

8月1日時点で計280本。