<高校野球西東京大会:東海大菅生8-3国学院久我山>◇2日◇決勝◇東京ドーム

国学院久我山のエース高橋風太投手(3年)は無念を口にした。「(飛沢を)甲子園のベンチに入れるという約束を、破る形になってしまった。まずは謝りたいです」。小学4年時に国指定の難病「肥大型心筋症」を患い、選手としては野球をやめざるを得なかった飛沢翔咲(しょうさく)マネジャー(3年)と一緒に夢の舞台へ-。必死に腕を振り続けたが、東海大菅生打線に打ち込まれ、5回10安打7失点。打撃では2本の適時打を放ったが、悲願達成は遠かった。

それでも、最高の仲間たちがいた。記録員としてベンチ入りした飛沢からは「相手は変化球を強く振ってきてるから、それを逆手にとれば凡打も取れるんじゃないか」と試合中にアドバイスをもらった。スタンドからは、飛沢の「翔咲」という名前と、夢を咲かせる意味を込めた「咲」の文字が印刷された練習着を身に着けた仲間たちが、必死に声援を送ってくれた。「頼ることと、任せられる責任感を学べました。本当にありがとうと言いたいです」。右腕のほおに涙が伝った。

チームの未来は、後輩たちへ託す。「準優勝の結果、久我山にもいろいろな人が入ってくる。少しだけですが、久我山のために結果を残したのかな」。高橋らがまいた種が、大輪の花として咲く時がきっとくる。【勝部晃多】