札幌、釧根の2地区で開幕した。今夏、南北海道大会を制した北海は、札幌北斗・札幌東豊・野幌を20-0の5回コールドで下し、初戦を突破した。

先発の1年生左腕、長内陽大が公式戦初登板で3回無安打無失点、7奪三振と好投し、甲子園でベンチ入りした新主将の井尻琉斗捕手(2年)が好リード。前チームからのメンバーと新戦力が力を合わせ、3季連続の甲子園出場へ好発進した。18年秋王者の札幌大谷は、初戦で札幌白石を10-0で下した。

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北海が、難しい新チーム初戦を切り抜けた。8月16日に甲子園から戻り、始動は同21日と、道内で最も遅い。秋に向けた練習試合は1試合。実戦不足ではあったが、南北海道の王者として、しっかり勝ちきった。平川敦監督(50)は「1試合でも多く試合がしたい。実戦経験が少ない選手が多いので仕方ない部分はあるが、1戦1戦学びながら、反省をしていけたら」と謙虚に話した。

流れを呼び込んだのは公式戦初登板の先発長内だ。初回から4者連続三振。3回まで毎回の7奪三振を奪い、4回からは同じ1年で甲子園メンバーの背番号1右腕、熊谷陽輝に継投し、1年生2人での無失点リレーで締めた。長内は「先発は、今日グラウンドに入るときに言われた。緊張することはあまりない。普段通りに投げることができた」と淡々と振り返った。

長内は札幌中央小時代、東16丁目フリッパーズのエースとして17年全日本学童軟式で優勝。既に全国制覇を経験している強心臓の持ち主だ。甲子園から戻ってからは、立島達直部長(31)の助言で、プロ注目左腕、木村大成(3年)のプレートの踏み方を身に付けた。「左足を並行に置いていたのを、少しつま先を本塁側に向けるようにしたら、体重がかけやすくなって球速も変化球のキレもよくなった」。強靱(きょうじん)なメンタルに前エース左腕のエッセンスも取り入れ、快投につなげた。

新戦力だけではない。新主将の井尻が1年生2人を好リードし、打線も4回までに16安打で20点を奪い、新チーム初の公式戦を乗り切った。井尻は「前のチームみたいに木村さんや中軸の宮下(朝陽)さんのような柱はいない。僕らはチーム全員で1戦1戦大事に戦うだけ」。3年連続で夏の甲子園に出場した15~17年の秋は、いずれも地区敗退。新体制での準備期間が短くハンディはあるが、総力で逆境を乗り越えていく。【永野高輔】