和歌山東が、創部12年で春夏通じて初めての甲子園出場を決めた。グラウンドで市川貴英校長がナインに選出を報告している間、米原寿秀監督は(47)は後ろからそっとその光景を見つめていた。「ほっとした気持ちです」と胸をなで下ろした。

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「中心的な人物はいない」というチームはここまで快進撃を見せてきた。昨秋の和歌山県大会・準決勝では、夏の甲子園覇者の智弁和歌山を5-4で撃破した。さらに、近畿大会準々決勝でも、夏の甲子園4強の京都国際に3-2で勝利。「気持ちで負けない野球」をポリシーに準優勝と大健闘。10年4月に軟式から硬式に変わってから悲願の甲子園の切符をつかんだ。

周りの支えもあった。去年からOB数人が休日返上で練習に参加。ナインに刺激を与え、縦のつながりも力になっていた。指揮官は感慨深い表情で言った。「これまでいろんな子がいた。その子たちがつないできた12年間なので、みんなにも感謝したいです」。

チームの目標は8強。米原監督は「ここまではミラクルみたいなもの。でもチームは何か持っていると思うので、そこに期待したいですね」とナインの持つ不思議なパワーに懸けている。聖地でも気持ちのこもった全力プレーで勝利をたぐり寄せる。【三宅ひとみ】