強豪校同士がナイターで大熱戦を展開した。追いつ追われつの攻防で、試合終了時、電光掲示板の時計は午後9時28分を差していた。シーソーゲームを制した履正社の多田晃監督(43)は言う。「この時間までは初めて」。この日は同球場で準々決勝4試合。午後6時49分試合開始で、異例のナイトゲームを戦った。

序盤は履正社ペースだった。1回に2者連続タイムリーで2点先制。5回終了時点で11安打5得点の4点リードと優位に進めた。だが、6回に大商大堺が猛反撃。6安打を集中して6点を奪い、逆転に成功した。だが、履正社も攻め手を緩めず。2点を追う7回、三木太介外野手(3年)の左翼への3ランで再逆転。9回も先頭三木が中越え三塁打で出塁し、貴重な生還を果たした。最後は履正社が逃げ切った。

多田監督は「まさかホームランが出ると思わなかった。大きなところで1本、打ってくれた」と最敬礼。ナイター戦に備え「投手の球は速く見える。タイミングの取り方を伝えた。最初は球が見づらく、外野手も判断できていなかった。しっかり声掛けをしようと話していた」とアドバイスしていたという。普段から同校はナイター練習を行う。今大会3発目で高校通算10本塁打の三木も「最初は見にくかったですが、修正してタイミングを速く取りました」と振り返った。春4強を決めたが、15日は約12時間後の午前10時から東海大大阪仰星と準決勝を戦う過密日程になった。

前日13日までの雨天の影響で、1試合目の開始が当初予定よりも46分遅れ、午前9時46分プレーボールだった。熱闘続きで、4試合終了が大幅にずれ込んだ。厳しい表情を見せたのは大阪府高野連の入道美之理事長(66)だ。「私の記憶でもこの時間までは初めて。すごい試合が4つ、重なった。(分離開催できる)球場もなかった。雨で流れて流れて…。この時間までやるのはないです。葛藤もあります」。当初はこの日の決勝を見込んでいた。雨天が重なり、大会日程がずれ込んだ。15日に準決勝2試合を消化し、平日の17日に決勝予定。過去には18年7月24日に夏の京都府大会準々決勝4試合が行われ、第4試合が午後10時37分に終わったケースもある。