1勝ずつ頂点に近づく。昨秋県Vで東北大会8強の仙台育英が、仙台城南に7-0で7回コールド勝ち。1点リードの3回に尾形樹人捕手(2年)が2点適時二塁打を放つと、先発の斎藤蓉(よう)投手(3年)が4回無失点で試合を作り、8強入りに貢献した。

仙台育英が無失策で初戦を突破した。7点リードの7回2死。相手の二飛で最後のアウトを重ね、コールド勝ちを決めるとナインは整列。校歌を聴いて応援席にあいさつすると、ほおを緩め、手を振って喜びを分かち合った。須江航監督(39)は「守備がしっかりしていたのでそれが勝因だと思います。3人の投手がよく投げてくれました」と評価した。

守備から攻撃につなげた。尾形は「投手陣は球速があってゾーンで勝負できることが持ち味」とマウンドに上がった3年生3人を好リードし、相手に二塁を踏ませなかった。打撃では3回2死二、三塁で2点適時左二塁打。「長打よりもつなぐ、(走者を)進めることが役割。後ろの(遠藤)太胡さんにつなげる意識でした」と、きっちり「3番捕手」の仕事をこなした。

昨秋は東北大会準々決勝で2桁の四死球を許し、花巻東に2-8で敗戦。先発登板した斎藤蓉は「自分の自滅でチームが負けて悔しい思いをした」と振り返った。だからこそ、春に懸ける思いは強い。「守り勝つというテーマでこのチームはやっているので、テンポよくストライク中心に勝負して1戦1戦勝っていきたい」。

同校は19年から2大会連続「春王者」。当然、V3を狙えるが、指揮官は「去年の東北大会は自滅して惨敗してますし、昨夏は4回戦で負けているチームなので“連覇”とかはないです。何よりも夏の大会につながらないといけないので、延長線上に夏がないような戦い方はしたくないです」。目の前の一戦を全力で戦う。【相沢孔志】