今夏も全国の「ピカイチ君」たちが、甲子園を目指す。投打の二刀流で注目されるのが、京都外大西・西村瑠伊斗(るいと)外野手(3年)だ。投げて最速147キロ、打って50本塁打と攻守でプロから熱い視線を送られる逸材で、高校日本代表候補にも名前が挙がる。昨夏の甲子園4強・京都国際や龍谷大平安など強豪ひしめく古都の夏を熱くする。

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全国レベルの強豪が、下級生のころから「西村瑠伊斗」の存在を鮮烈に覚えている。大阪桐蔭との練習試合で、相手首脳陣の目を引く長打。今春の京都府大会で対戦した龍谷大平安の原田英彦監督(62)も「いい打者」と目を細めた。

「プロ注目」を超える、プロを驚かせる存在だ。「打撃は今年の候補で抜きんでた存在。練習を見たとき、こんなバッターがいたのか、と驚きました」と目を丸くしたのは巨人渡辺スカウト。上羽功晃監督(52)は「教え子の中でも、バッティングの力は抜けている。タイミングの取り方のうまさ、ミート力で勝負できる」と評した上で「3年になって、1打席の中でより対応力が増している」と成長点を挙げた。

さらに兼ね備えるのは、チームを勝利に導く「必勝リリーバー」としての能力。最速147キロの直球に加えスプリット、スライダーと、狙って空振りを取れる変化球を持つ。ただ試合を締める重責を担うだけに、監督は「投球はまだ力任せの部分がある。本来は状況に応じた柔軟性のある投球ができる。その姿を京都大会で見せてほしい」と期待する。上羽監督の教え子でOBの中日大野雄も、後輩の活躍を楽しみにする。

昨夏の京都大会準決勝・乙訓戦で2打席連続本塁打。10年夏以来の甲子園にあと1勝に迫ったが、決勝で京都国際に阻まれた。「打つ方では長打を量産できる、投げる方ではまっすぐで押せる投手を目指したい」と、エンゼルス大谷の背中を追う18歳。激戦の古都の夏を投打で切り開き、今年こそ大舞台にたどり着く。【堀まどか】

◆西村瑠伊斗(にしむら・るいと)2004年(平16)7月1日、京都市生まれ。上鳥羽小2年から「七条ファミリーズ」で野球を始め、洛南中時代は「京都ポニー」に所属。京都外大西では1年夏から背番号10でベンチ入り。50メートル6秒。遠投120メートル。好きな選手はエンゼルス大谷。178センチ、75キロ。右投げ左打ち。

【訂正】当初に配信した原稿では、「プロ注目の相手エース・北見隆侑投手(現近大1年)から2打席連続本塁打」としましたが、北見投手からは打っておらず、誤りでした。お詫びして訂正します。