昨夏甲子園準Vでノーシードの智弁学園が、シードの畝傍(うねび)を7回コールドで撃破した。

主将の酒井優夢(ゆうむ)遊撃手(3年)が公式戦初の1番に座り、初回は左前打で出て先制のホームを踏み、2回には適時三塁打。5月に髄膜炎で離脱したエース大坪廉(3年)が今夏初登板し、4回まで完全の7回5安打無失点で10三振を奪う力投を見せた。

夏を戦う布陣が整った。5月4日に春の県大会3回戦で生駒に敗れて約2カ月。酒井主将は「僕が流れを作れ、引っ張れということと思った」と初めて座った1番で結果を出した。春は小坂将商監督(44)に干され、厳しい日々を過ごした。視野を広げるべく、捕手に回され、生駒戦は出番なし。本来の遊撃に戻ると「自分が、自分が、ばかりでつながりがなかった」というチームをまとめてきた。

エース大坪も生駒戦で投げなかった。5月に入って頭痛を訴え、髄膜炎で約2週間も入院。「めちゃくちゃ不安でした。この試合に勝ったら、みんなでノっていけると思っていた」。待望の先発で全開、畝傍につけいる隙を与えなかった。

春の県大会4強の畝傍を完勝でクリアした。高校初アーチを放った3番中山優月から、大型捕手の7番高良鷹二郎まで中軸5人に2年が並ぶオーダー。辛口の指揮官も「春以降、2年がグッと力をつけてきて、3年もしっかりして来ました。全体的にリズムが良かったですね」と手応えを口にする。春は春、勝負は夏。強豪が本来の姿を取り戻した。【加藤裕一】

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